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成年後見豆知識コーナー  


身体に障害のある人は後見制度を利用できるか?(NEW!)
後見制度利用の対象者は,今までに述べたように「精神上の障害により」「事理を弁識する能力」が十分でない人となります。

平成11年に民法が改正される前は後見制度に変わる禁治産者,準禁治産者制度がありました。この制度では単なる浪費者に対しても,準禁治産者として保佐人をつけることで保護する制度でした。

ただし,改正前の状況でも改正後の状況でも身体のみの障害の人は対象とはなっていません。

これは,身体のみの障害のある人の場合,自身で法律行為をすることが可能であり,自己決定権を重視したからです。

ただ,身体に重度の障害があり,財産の管理や,介護等の契約を自分で行うことが困難な場合があります。

その場合,信頼できる第三者との間で財産管理等委任契約,身上監護契約を締結することで,その第三者が本人に変わって財産管理等を行うことができます。

ただし,後見制度と違って,財産管理等委任契約は契約相手の第三者を監督する者がいません。なので,信頼できる第三者の選任が重要です。

また,財産管理等委任契約書を公正証書にするなどし,公の証明をとっておくことも必要でしょう。

若干,費用も必要ですが,行政書士等の専門職に頼むことも有効といえます。

補助類型について少し詳しく説明してみました。
補助類型の対象となる方は「精神上の障害により」「事理を弁識する能力が不十分な」方となります。「不十分」な状態は,家庭裁判所が医師の診断書判断材料として決定します。

補助類型の対象者は大まかに財産管理等できる等,複雑でない契約を締結する能力もある方なので,補助開始の審判の申立には必ず本人の同意を必要とします。

補助人には後見人のような代理権,保佐人のような同意権が法律上当然に付与されていません。そこで,代理権や同意権が必要な場合には補助開始の審判と同時に代理権,または同意権の付与申し立てを行う必要があります。

同意権については保佐同様以下の民法13条1項に規定された特定の法律行為の中から補助人の同意のもと内容を定め,家庭裁判所が決定します。

①元本を領収し,または利用すること。
②借財または保証をすること。
③不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為をすること。
④訴訟行為をすること。
⑤贈与,和解または仲裁合意をすること。
⑥相続の承認もしくは放棄または遺産の分割をすること。
⑦贈与の申し込みを拒絶し,遺贈を放棄し,負担付贈与の申し込みを承諾し,または負担付き遺贈を承認すること。
⑧新築,改築,増築または大修繕をすること。
⑨民法602条に定める期間を超える賃貸借をすること。

代理権については,上記の特定の法律行為だけではなく,他の法律行為についても定めることができます。しかし,補助人の同意が必要です。

補助開始にともない,保佐や後見のように資格や権利を喪失することはありません。

補助は「判断能力の不十分な」場合ですので,保佐や後見よりも自己決定権などが保障されているといえます。



保佐類型について少し詳しく説明してみました。
保佐類型の対象となる方は「精神上の障害により」「事理を弁識する能力が著しく不十分な」方となります。「著しく不十分」な状態は,家庭裁判所が医師の診断書,および鑑定書を判断材料として決定します。

「事理を弁識する能力」とは利害関係や損得(法律行為によるもの)を適切に判断する力のことをいうので,そういった力が著しく弱くなった状態と言えます。

具体的には,契約等,何らかの法律行為をする場合,誰かの助言があれば何とかできる状況にある人が該当します。後見と補助の間に属する類型であるので,判断が微妙な場合も多く,保佐の判断には必ず鑑定が必要となります。

保佐開始すると被保佐人は民法の13条1項に挙げられた行為をする場合,保佐人の同意が必要となります。これらの行為を保佐人の同意なく行った場合は保佐人だけでなく,被保佐人もその行為を取り消すことができます。それらの行為は次のような行為です。

①元本を領収し,または利用すること。
②借財または保証をすること。
③不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為をすること。
④訴訟行為をすること。
⑤贈与,和解または仲裁合意をすること。
⑥相続の承認もしくは放棄または遺産の分割をすること。
⑦贈与の申し込みを拒絶し,遺贈を放棄し,負担付贈与の申し込みを承諾し,または負担付き遺贈を承認すること。
⑧新築,改築,増築または大修繕をすること。
⑨民法602条に定める期間を超える賃貸借をすること。

これらは法律であらかじめ決められていますが,これらの行為以外の行為についても当事者で決めて,申立てをすることにより範囲を拡大することができます。この範囲について日用品の購入まで広げると,自己決定権について後見類型以上の制限をつけることになるので,除外されることになります。

後見類型では,後見人が代理権を持っていましたが,保佐では法定されていません。しかし,本人の同意があれば,申立てによって,特定の法律行為に対して保佐人に代理権を付与することができます。

また,被保佐人は保佐が開始することによって,前に述べたように特定の資格や権利を喪失します。

後見類型について少し詳しく説明してみました。
後見類型の対象となる方は「精神上の障害により」「事理を弁識する能力を欠く常況にある」方となります。この「常況」は「状況」ではありません。つまり,能力を欠く状態にあるだけでなく,常にそのような状態である必要があると言うわけです。

あまり気持ちの良い響きではありませんが,法律ではこのように定められています。具体的にどのような状態をいうのかは定義されておりませんが,いわゆる植物状態にある場合,その他に恒常的に判断ができない状態にある場合や,時折,判断能力が回復する場合でも,通常は判断できない状態にある場合も含まれるとしています。

さらに具体的な事例では,寝たきりでほとんど意思表示がない状態で会ったり,通帳,銀行印などの大事なものをたびたび紛失したり,自分の住所,家族の名前などのきわめて身近なことが思い出せなくなったりなどが大まかな基準とされています。

ただし,最終的には医師の診断書,鑑定によって家庭裁判所が認定していくことになります。

後見の申立てにおいて,家庭裁判所は「申立ての動機や目的」「本人の健康・生活の状況」「財産状況」「親族(相続人)の関係」などを重視していきます。

後見の審判が決定し,被後見人となるとほとんどの財産に関する法律行為ができなくなります。本人が勝手に行った法律行為は成年後見人,または本人によって取り消すことができます。

ただし,本人のすべての経済活動を規制しては自己決定権の侵害になってしまいますので,身近な日用品の購入や日常的な行為(孫にお小遣いをあげる,好きな食べ物などを買う)などは被後見人がひとりで行うことができます。

その他,被後見人となると,前に述べたように一定の地位・資格や権利を喪失することになります。



成年後見制度利用のメリットとデメリットとは?
後見制度は,判断能力が不十分な成年者に対して,家庭裁判所が選任した後見人等が,ご本人を支援し,同時に本人の権利を守る制度です。複雑な福祉の契約などを,ご本人の利益を考え,代わりに行うだけでなく,悪質な商法からご本人を守る役割も果たします。一方で,権利の制限や資格制限を受けることもあります。以下に,さらに詳しく触れていきたいと思います。

成年後見制度のメリットは,現在の複雑な経済システムや契約システムから本人を保護することだと考えられます。後見類型では,本人のできること(日用品の買い物等)を限定することで,様々な契約等を後見人がすることにして本人を保護することにしています。

保佐類型では,重要な法律行為をあらかじめ決めておき(民法13条1項)その範囲で保佐人の同意を要することにしています。また,被保佐人と保佐人の任意で特定の行為について代理権を保佐人に付与することができます。

保佐類型では本人を保護するとともに,本人の意思による自己決定の範囲を後見より広げています。

補助類型では,保佐における重要な法律行為の範囲で補助人の同意権を付与することができます。また,特定の行為について代理権を補助人に付与することができます。同意権,代理権いずれも被補助人と補助人の当事者間で決めることになっており,費補助人の自由意思を尊重する形となっています。

成年後見制度のデメリットとしてあげられるのは,被後見人,被保佐人に対する資格制限です。

被後見人,被保佐人ともに制限されるものとしては,法人,会社等の役員,また,医師,各士業,教員等の資格,事業の許可・認可・指定等,公務員等の地位,が取り消されることになります。

被後見人ではさらに,取り消される資格,許認可の範囲が広くなるだけでなく,選挙権や,被選挙権がなくなってしまいます。

選挙権については民主主義の基本的権利であること,また,後見登記がなされなければ同じ状態であっても,選挙権のある人,ない人となり,権利擁護の制度である成年後見制度を利用することで権利がなくなることから批判も多くあります。

また,印鑑登録も抹消されます。

このように,成年後見制度には大きなメリットもある一方でデメリットも存在します。ご本人の生活の状況や価値観等配慮しながら,制度の利用を考える必要があります。





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